事業活動を通じた
サステナビリティの取り組み事例
- MICE
株式会社JTB
“サステナビリティ時代”のビジネスイベントとは
“サステナビリティ時代”のビジネスイベントとは
JTBグループが「人をつなぐ、組織をつなぐ、社会をつなぐ」をテーマにした法人向けイベント「JTB Engagement Camp」を2023年7月19日に開催しました。
イベント内容
タイトル:JTB Engagement Camp
主催:株式会社JTB
共催:株式会社JTBコミュニケーションデザイン・株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ
開催日:2023年7月19日
参加人数:300名
お話を伺った方:
JTBコミュニケーションデザイン(JCD)
コーポレートソリューション部
ミーティング&イベント第二事業局
イベントプロデューサー 齋藤 昌子さん
サステナブルな企業イベントとして
JTBグループは、企業が抱えるさまざまな課題を解決するため、法人向けの企業イベントを毎年開催しています。2023年のこのイベントを企画するにあたり、JTBグループのスタッフとお客様の、お客様と社会の「接点」となるようなイベントにしたい、という指針をもとに、JCDの運営チーム内で議論を重ねました。来場されたお客様がグループのソリューションブースや講演を見聞きするだけではなく、会場全体を回遊しながらスタッフとのコミュニケーションを深めるイベントにしたいという思いからディスカッションを重ねるうちに、「エンゲージメント」というテーマが見つかり、そこからコンテンツを組み上げていきました。また、セミナーをオープンマインドな空間で行うことで多様な発想が生まれる動線を作りたいという考えから、会場内設計も工夫しました。
海外非営利団体が主催した地球温暖化の解決策についての東京研修など、さまざまなサステナブルなイベントの企画立案に携わってきましたが、今回のイベントの特徴的な点として、新規パートナー企業の開拓が挙げられます。
会場設営
イベントの会場に選んだのは、大手町三井ホールです。会場外には緑に覆われた皇居やお堀が見え、都内でも自然を身近に感じられ、キャンプいうコンセプトを表現できたことや、駅から近く交通の便もよいことで移動にかかるCO2の削減につながることもあり、イベント会場として選定しました。
会場の設営は、サステナブルな設営・施工・装飾に強みを持つユタカ株式会社様にご協力をいただきました。リユースできるアルミとファブリックで施工するonefabricatmの使用のほか、植栽にはフェイクグリーンを使用せず根のついた樹木や観葉植物を使用するなど、積極的にリユースできるもので会場施工を行いました。会場にはメインステージセッションを行う第一会場と、サブセッションスペースの第二会場を設け、二つの会場を回遊できる動線を作りました。
会場内の設営にはアウトドア用品を活用したイベントコンサルティング事業などを手掛ける株式会社スノーピークビジネスソリューションズ様にもご協力をいただきました。メインステージ前にはキャンプ用アームチェアを並べ、その後方に焚き火台セットを囲むような形で円卓を設置しました。ステージ前に移動しなくてもキャンプスペースでスタッフと来場者が歓談を続けながら講演に耳を傾けたり、焚き火を囲みながら会食したりすることでコミュニケーションを深めることができるスペースとなり、会場内の回遊動線とうまく融合したことで、ワクワク感が生まれる空間演出が成功しました。
イベントケータリングで示すサステナビリティ
ケータリングには、2企業のご協力いただきました。規格外などが理由でまだ食べられるのに廃棄されてしまう有機や無農薬野菜を、おいしい・楽しい・美しい食体験としてお届けされているファームキャニング合同会社様には、持続可能な食の提案としてキャンプをイメージしたメニューのご考案をいただきました。美味しいのはもちろん、会場を華やかに、そして楽しさを盛り立てる装飾的な演出効果もあり好評でした。安心・安全な食材、地産地消など、社会的にも貢献度の高い事業を展開している企業の参画には大変意義があったと感じています。
アルコール類の提供でご協力いただいたエシカル・スピリッツ株式会社様は、カカオやコーヒー豆などの殻や、コロナ禍で余剰となったビールなど、さまざまな未活用素材を使いクラフトジンを製造することでフードロス対策や産地支援を行っている企業です。実際に直営バー&ダイニングへ足を運びお話を聞かせていただく中で、徹底したサステナブルな取り組みに共感するところが大きかったことから協力を仰ぎました。
ゴミや廃材、食べ残しを出さないために
イベントを通して極力環境に負荷がかからないよう配慮しました。フードサービスにおいてはドリンク類にはペットボトルを持ち込まず、瓶や紙など、リユース・リサイクルできるものの使用を徹底しました。お客様へのドリンクの提供には一部、再生プラスチックカップを、フードの提供はクッキングシートも使いましたが、こちらはテーブル一面に色鮮やかな食事を並べることで、自然の美しさとキャンプのワクワクを表現できました。
「ゴミや廃材を出さない」という点では、会場施工のほとんどで廃材の出ない建材を使用したため、最終的に廃棄したものは、パンチカーペットと展示ボードの一部のみでした。イベント開催時にどうしても出てしまう建材などの大型廃材が大幅に削減できたことは、持続可能なイベントの事例として大変有意義なことだったと思っています。
また、イベントケータリングで課題となる食べ残し・飲み残しについても好事例が見られました。適量発注をすることでロスがないように調整しただけではなく、来場する方にもこの取り組みをご紹介したことで、食事テーブルが空になっている状態でも、主催者・来場者からクレームなどは一切ありませんでした。食事に関して残飯はほとんど出さず、飲料については、長期保存が効くジンが1本残っただけとなり、飲食のケータリングを通じてフードロスの取り組みにも貢献できました。
食事が完食したことでご要望にお応えできなかった来場者もいらしたのですが、フードロスの取り組みを当然のこととして寛大に受け入れてくださる姿があり、個々の意識にサステナビリティが浸透していることを感じ、時代が変わってきていることを認識できました。
サステナブルイベントの評価
主催者からは、企業の多岐にわたるサステナブルな取り組みやソリューションをボードで展示するだけでなく、詳細な説明ができる専門スタッフを配置したことで、来場者のJTBグループの取り組みに対しての理解が深まったという声がありました。
また、講演を聞き、展示を見るだけのイベントではなく、キャンプ場のような楽しい雰囲気の中で会場を自由に回遊し、来場者とのコミュニケーションが深められたと評価いただきました。
今回のようなサステナビリティの視点にて複数の取り組みを実施するイベントはあまり例がなく、来場者が実際に飲食などを通じてサステナブルな体験をされたことや、主催者がお客様である来場者とのエンゲージメントを深められる機会となったという声が多かったことからも、主催企業のサステナブルな取り組みに対するより深い醸成に繋がったと感じています。
サステナブル企業イベントを持続するには
企業イベントは表彰式、周年イベントがテーマになることが多く、その中でサステナブルな取り組みをどのように取り入れていくかは企業側の方針によります。サステナブルな取り組みは、一度スタートするとずっと続けていかなければならない活動のため、費用面も課題です。私たちはそこをクリアするための取り組みとして、他の部分で予算を調整し、削減できた予算でサステナブルなソリューションを取り入れていただく提案をしています。例えば地方イベントでは、東京から大勢のスタッフを連れて行くのではなく、現地スタッフを多く起用して交通宿泊費の削減を図ることや、現地に足を運ぶ打ち合わせを減らしオンラインでの対応を増やすなど、移動にかかる費用を抑える提案を長年続けています。移動が削減できるということはCO2の削減にも繋がり、さらにパートナー企業と現地との交流が生まれるコミュニケーションの創出という相乗効果も現れ、地方再生の取り組みにも繋がっています。
今回のイベントはサステナブルイベントの好事例となったのではないかと思うとともに、企業様のサステナブルな活動が社会全体の、そして地球全体のサステナブルな意識改革に繋がるよう、サポートし続けてまいります。
コーポレートソリューション部
ミーティング&イベント第二事業局
イベントプロデューサー
齋藤 昌子
局内SDGs推進プロジェクトメンバー
サステナブルイベントに特に関心が高い海外団体や外資系企業を主に担当