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地域課題に寄り添う『みんなの 食堂』
〜中央区立晴海地域 交流センター「はるみらい」〜

株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)は、指定管理やPFIをはじめとするPPP(官民連携)の手法で地域の文化・芸術ホール・生涯学習センター・社会教育施設等の公共施設を「交流拠点」とする施設運営プロデュース・運営管理をしています。 今回は管理を行なっている施設のひとつ、中央区立晴海地域交流センター、愛称「はるみらい」での、地域課題のひとつである住民の交流促進に寄り添う取り込みとしてスタートした『みんなの食堂』の活動を紹介します。

地域のオアシス「はるみらい」

エントランスをくぐると、広々としたロビーの端にオリンピック・パラリンピック選手の寄せ書きや表彰台の常設が目を惹きます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村の跡地に2023年12月にリニューアルされた中央区立晴海地域交流センター、愛称「はるみらい」。広々とした吹き抜けのある4階建ての建物の中には、温浴スペースやキッズスペース、学習スタジオなどの、誰もが自由に使えるフリースペースのほか、集会室やキッチンスタジオ、工作スタジオや音楽スタジオなど時間貸しの活動室が並び、子どもから大人まで多くの近隣住民の憩いの場として活用されています。 以前から晴海地域で暮らす住民の方々と、東京オリンピック・パラリンピック後に再開発された新しい街に移り住む若いファミリー世代との「新旧住民の交流」というこの地域ならではのニーズがあると話すのは、「はるみらい」の田中大介館長(JCD)です。 「近隣には以前からお住まいの方々も多くいらっしゃいますが、なかなか外に出る機会が少ない方もいらっしゃいます。対して移住してきた住民の方々は若いファミリーが多く、こどもの数も増えています。様々な世代の方々がはるみらいにお越しいただき交流ができれば、ご近所同士の相互扶助につながるのではないかと考ております。」

「はるみらい」のエントランスホールに常設された
オリンピアン・パラリンピアンたちの寄せ書き
スタイリッシュな建物の中は、
木を使ったサイン表示などがふんだんに置かれ、あたたかい雰囲気です

地域の課題解決に向けた、「おいしい」取り組み

多世代間の交流の創出や地域保全、さらには地域で育む子育てなどのために、はるみらいが一役買うことはできないかといった中央区からの期待もあり、様々な世代にわたる交流の場の創出が検討されました。
「もともと私が西東京市でこども食堂の運営に携わっていたこともあり、最初は『こども食堂』としての開催を考えていたのですが、この地域では誰もが参加できる場所づくりが重要だと考え、こどもに限定しない『みんなの食堂』という形での取り組みがはじまりました。」と田中館長は振り返ります。
「みんなの食堂」が開催されるのは、「はるみらい」内のレストラン「Haru-Meets」です。料理長でもある長谷川純店長はアメリカのアリゾナで4店舗のレストランを運営した経験を持つとのこと。コロナ禍を経て帰国した際、JCDから声がかかり、「はるみらい」のリニューアルオープンと同時に開業した「Haru-Meets」の運営を任されています。
ここで提供されるメニューは、全て手作り。毎日変わる日替わりメニューを目当てに11時から14時までの平日のランチタイムには少し離れたオフィス街のサラリーマンも歩いて来店するといいます。18時から21時までのディナータイムは「はるみらい」の利用者や近隣住民のほか、宴会で利用する企業等の団体客にも利用されています。土日は子ども連れのファミリー客で賑わいます。

『Haru-Meets』の長谷川 純店長。料理長でもあり、毎日変わる日替わりメニューは大人気!

安心できる場所『みんなの食堂はるみーつ』

『みんなの食堂』は月に1~2回、『みんなの食堂はるみーつ』として開催されております。レストラン入り口脇に設置せれた受付で30食限定の整理券が配布され、16時半から食事が始まります。こどもは無料、大人は300円でHaru-Meets自慢の一皿がスープなどと共に提供されます。 「無料〜安価で提供する中でも、味は全く妥協していません」と長谷川店長。通常の日替わり・週替わりメニューの中で使う食材を活用してメニューを考案するなど、味と価格の両立を実現していると言います。 取材に伺ったこの日のメニューはボロネーゼスパゲッティとコンソメスープ。ボロネーゼに使われるみじん切りの野菜は日替わりメニューの食材の端材も使用しているため種類も豊富!通常は生麺で提供するパスタは、生麺より安価な乾麺を使用してコストを抑えているそうですが、十分過ぎるおいしさです。端材の有効活用で食ロスも出さない好循環も生まれています。 『みんなの食堂はるみーつ』の開催時は「はるみらい」のスタッフが、受付からサービス、アンケートの回収までをサポートします。この日は小学生の子どもたちだけのグループや、小さな子どもたちを連れた親子、仲良しのお母さんたちのグループとその子どもたちなどで、30人の枠が終了。二人で訪れた小学生の子どもたちは常連さんなんですよ、と話すスタッフの嬉しそうな笑顔が印象的でした。 長谷川店長は『みんなの食堂はるみーつ』に参加する人たちとの交流を大切にしているといいます。厨房を切り盛りしながら、ホールに出て料理のサーブも行い、「どう?美味しい」「学校どうだった?」と子どもたちと話す姿が見られました。 「来てくださった方全員と話をするようにしています。子どもたちにはあえて友だち口調で話します。近所のお節介なおっちゃんみたいに感じてもらいたい。共働きの親御さんも多いので、子どもたちだけでも安心してきてもらえる場所だと親御さんたちに感じてもらいたいと思っています。」

受付で整理券が配られます。
小学生のグループや親子連れで賑わっていました。
受付を担当するのは「はるみらい」のスタッフ
厨房では長谷川店長が30食分をほぼ一人でまわします。
スタッフもキッチンサポートに入ります
小学生の子どもたちや、
子ども連れの仲良しのお母さんたちのグループが食事を楽しみました
フロアサポートのスタッフ。
常連の子どもたちとは仲良し

今後の課題とこれからの『みんなの食堂』のありかた

田中館長は『みんなの食堂はるみーつ』を運営する中で、さらなる発展の可能性も見えてきたと話します。
「今は小学生の子どもたちと、お母さんと小さな子どもという参加者が多いのですが、もっと幅広い世代の方々にご参加いただけるよう工夫していこうと考えています。食事をする場というだけではなく、本来の目的である多世代の交流の場になるように仕掛けて、様々な世代の方々が参加しやすい環境を整えていきたい。地域の子どもたちと、人生経験豊富な方々が交流することは、相互の安心や心の豊かさ、安全なまちづくりに結びつくと思っています。」
また、残念なことに食べ残しが多かったり散らかっていたりするのを見ることも多く、これも課題の一つだと感じます。食事のマナーといった食育の場としても、何か取り組みを始めたいと考えています。
現在、「Haru-Meets」の従業員と「はるみらい」のスタッフだけで運営している『みんなの食堂はるみーつ』ですが、地域のボランティアの参加も視野に入れています。地域住民が自分ごととして考え、共に運営していくことで、より深い地域の関わり、人のつながりができるのではないかと田中館長は考えています。

「みんなの食堂はるみーつ」が開催されている中央区立晴海地域交流センター
「はるみらい」の田中大介館長(JCD)

核家族化が進み、独居者が増え、近所との交流がなくなってしまった世知辛い世の中に、ちょっと他人がお節介してあげる、安心してお節介を受けられる場所があること、子どもたちが人生経験豊富な方の話を聞く機会があることは、地域情緒の育成にとっても非常に幸いなことでしょう。そんな取り組みが『みんなの食堂はるみーつ』から発信されていくことが期待されています。